原産地:中国中南部
捕獲難易度:★☆☆☆☆
純淡水域でイガイ類が採れるという違和感
数年前、堤防や岸壁にうじゃうじゃひしめき合っているイガイの仲間が淡水にもいると聞いたときは驚いた。
名はカワヒバリガイ (Limnoperna fortunei)といい、中国原産らしい。
それと同時に「じゃあムール貝(ムラサキイガイ)にも近縁ってことだから美味いのかな?」と思い立ち、採集計画を練った。
色々あって決行は去年2012年になってしまったが…。
向かったのは琵琶湖水系である宇治川。想像以上に流れの速い川だった。
海のイガイ同様、基物にくっつくタイプの貝らしいので激流は苦手だろうと淀みを探して覗き込むと即発見!しかも大量に。超簡単にほぼミッションコンプリート。
計画なんて練る必要なかったのだ。机であれこれ考える前にさっさと行動しておけばよかったのだ。
強い糸状の繊維(足糸という)でコンクリートにへばりついているので、素手で引き剥がすのにはなかなか力が必要だが、絶対動かないし数が多いのでまず失敗はない。
それこそイガイ捕り器でもあれば無限に収穫できそうだった。
今までで一番捕獲難易度の低い外来種かも…。
ものの数分でこれだけ採れる。
護岸の窪みなどに数個~数十個体が固まって生息していた。
この集団化する生態が厄介で、ダムや水道、水力発電所の配管内でコロニーを形成して管を詰まらせ、施設の機能を阻害してしまうのだという。
地味で無害に見えてなかなか直接的に人間の生活に影響を与える外来種だ。
カワヒバリガイは現在、シジミなどの輸入資材に紛れて東アジアを中心に各地へ分布を広げている。
遠くは南米でも問題になりつつあるとか…。
食べてみる
さて、当初の目的通り味見をしてみよう。
ただしこの貝は特定外来種であるため生かしたままは運搬できない。
採集したら、面倒だがその場で〆てから持ち帰る。
見た目はかなり美味しそう。
炒めると殻が開き、黄色い身が覗く。
やはりムール貝を彷彿とさせてなかなか食欲をそそられる。
が、食用とするにあたって一つ残念な点がある。
小さいのだ。
シジミよりもはるかにボリュームに欠ける。
殻の長さが3㎝ほどになるものもいるそうだが、この日僕が撮ったものの中にそんな大物はいなかった。せいぜいが2㎝程度である。
これでは食いでがない。爪楊枝でほじくってちびちび食べるのか。
上がムール貝、下がカワヒバリガイ。
だがちょっと待て。
小さい分味が濃厚で美味しいのかもしれない。シジミも小さいけど味は良いし。
とりあえず試してみようではないか。
…。
味、無い。
決して不味くはないが、決して美味くもない。
当然だ、それを判断するための味がほとんどないのだから。
噛みしめ続けていると、ふとした瞬間に二枚貝特有のうまみをうっすらと感じることもあるが、
舌と鼻腔に全神経を集中していないとわからない程度だ。
1時間噛み続けたガムからミントの香りを感じ取ろうとするような虚しさがある。
食材として成立させるには、それこそ大量に採集し、常識はずれな量をスープやみそ汁のたねとして投入、質より量の作戦で出汁を取るしかあるまい。
採集前から薄々気づいてはいたけれど、これでは「食べて駆除」なんて呑気なことは言ってられそうもない。
もっと積極的な、駆逐自体を目的とした駆除と防除が必要だろう。
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