2013年7月18日木曜日

イッカククモガニ (Pyromaia tuberculata)

甲殻類
原産地:太平洋沿岸(カリフォルニア~コロンビア)
捕獲難易度:★★☆☆☆

クモガニ。
ボディーは小ぶりで足が長い。
シルエットがクモっぽいからクモガニ。

有名どころかつ大物だと世界最大のカニであるタカアシガ二もクモガニ科に属すが、(ちなみにズワイガニもかつてはクモガニ科に分類されていた。)
基本的にこの辺りのグループに属すカニは地味で小型で無名である。

だが、地味で小型でありながら、近年じわじわと有名になってきているクモガニがいる。
イッカククモガニ (Pyromaia tuberculata)だ。


確かに遠目に見るとクモっぽいかな?

元はアメリカ大陸の太平洋岸にしか生息していなかったカニなのだが、船舶のバラスト水に混ざり込んだ幼生(カニの子ども。カニやエビは卵から生まれてしばらくはプランクトンとして水中を漂っている。)が東アジアや南米諸国に運ばれ、分布を広げてしまっている。

日本でも仙台湾、東京湾、大阪湾などの大きな内湾をはじめ、複数箇所で定着が確認されている。

写真の個体は東京湾奥部の河口域で得たもの。

イッカクの名の通り、額(?)が角のように突き出している。

このカニはとにかくおとなしい。
普通カニと言えば捕まえられると必死になってハサミで攻撃してくるものだが、イッカククモガニはほぼ無抵抗である。
見つけた時は死んでいるのかと思ったほどだ。

在来の生物や生態系に悪さをする可能性も高くはないようだ(だからといって侵入を看過してもよいということはないが)。

いじくりまわそうがひっくり返そうがほとんど抵抗しない。あ、こいつ♂だね。

よくこんなんで生き延びていられるなと思ったが、調べてみると確かにこのカニは外敵からの捕食圧に弱く、カニを食べる大きな生き物が多く暮す、酸素や水質に恵まれた水域では繁栄できないようだ。

ということは、このイッカククモガニが繁殖・定着している場所は簡単に言えば環境があまり良くないということである

では日本の多くの海域へこのカニが分布を広げているということはつまり……。

よく見るとピノキオっぽくてかわいい。

見つけ方・捕まえ方は簡単。
生息地へ行き、潮干狩りが出来そうな砂利・砂泥地を探す。
あとは干潮時に足首やスネあたりまで浸かりながら水底や石の裏を探ればよい。
ついでに他のカニやらハゼ類やらいろいろ見つけられて楽しい。

一度見つけてしまえばこっちのもの。のろのろ逃げようとするところを手なり網なりで無造作に掬い上げるだけである。


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