2013年7月23日火曜日

カミツキガメ (Chelydra serpentina)

爬虫類
原産地:北・中米
捕獲難易度:★★★☆☆

印旛沼水系の川にて。他にも各地で目撃・捕獲、あるいは繁殖の確認がなされている。

メディアで騒がれるほど狂暴じゃない。むしろ臆病でおとなしい。

カミツキガメ。その物騒な名前のイメージが強すぎるのだろう。「人に危害を加える恐ろしい外来種」という認識を持っている方が多い。
そりゃあちょっかいを出せば咬むなりひっかくなりされるかもしれないが、そんなのは野生の動物なら当然のこと。向うから積極的に攻撃してこないだけ安心というものだ。

…とはいうものの、子どもの遊び場でもある街中の水辺にこんなカメがいるというのはやはりちょっと心配でもある。
子どもは変なものにはちょっかいを出さずにはいられない生き物なのだから。



よく言われるように「咬まれれば指が一瞬で切断される」なんてことはそうそうないだろうが、体重10㎏に迫る成体に咬まれれば骨に達する大怪我をしてもおかしくない。

とまあまったく無害と言い切れない程度には危険なカメである。捕獲の際には注意を払いたい。

しかし捕獲と言っても前述の通り、とても臆病で警戒心が強いため、めったなことでは人の前には姿を現さない。なので網や手づかみで捕獲するのは極めて困難である。

印旛沼水系では産卵期である6月は陸に上がることも比較的多いらしく、地元の方々の目撃情報はその時期に集中していた。

となると必然的にエサを使用しておびき寄せる方法になるが、よく駆除で使用されるカニカゴタイプのトラップは設置に許可が必要な場合が多いし、駆除を行う業者や役所を混乱させかねないので安易に使用してはならない。
数をたくさん仕掛けないと効率も悪いし、カメを狙う場合はトラップ内での窒息をふせぐ工夫が必要となるため設置に手間もかかる。諸々の理由で個人が用いるのは現実的ではない。

となると「またかよ…。」と言われそうだが、残る手段は釣りとなる。
仕掛けは竿、釣り糸、オモリ、ハリと非常にシンプルでよい。いわゆるぶっこみ仕掛けである。
ただし、一つ重要な注意点としてハリのサイズがある。かなり大きなものを使用するべきである。

小さいハリを使うと、他種のカメがハリを飲んだ状態で釣れてしまうことがある。この事態は避けたい。

カメを狙うわけだから、当然スッポンやらクサガメやら招かざるカメも寄ってくる。
カメというのは魚と違ってエサを水中でひったくって泳ぐことなくその場で食む。
すると釣り人がアタリに気付く前にハリごとエサを飲み込んでしまい、非常に心が痛む事態を迎えることとなる。

それを避けるためにも、やや大げさに思えるほど大きなハリを使うべきである。
カミツキガメは甲長に比して頭部及び口がとても大きい。その上貪欲で、魚のように細かいことは気にしないようなので、「こんなにデカいハリ咥えてくれるかな…」と案じる必要はない。
それよりもうっかり飲み込まれた場合の絶望を恐れるべきだ。

成体の口はかなり大きい。クエ用やマグロ用などの極端に大きなものでなければたいていどんな釣り鈎でも入ってしまう。

具体的言うと、最低でも五百円玉からはみ出す程度のシルエットでないと、かなり飲まれるリスクが高い。特に成体のミシシッピアカミミガメ (Trachemys scripta)に。タマン鈎の22号を飲まれかけたときはさすがに驚いた…。

かといって海釣りで使うような軸の太いものもあまり都合がよくないので、ブラックバス用のワームフックの#5~6あたりが意外と使いやすいかもしれない(試したことないけど…)。

裏返すと見慣れたヌマガメとの身体構造の差は歴然。

エサはサンマの切り身がベスト。次点がサバ。海川陸を問わず、死肉をあさるタイプの生き物には臭い青魚がテキメンに効く。水棲カメ全般の好物でもある。
白身魚と比べると驚くほど差が出る。

イカの塩辛を用いたこともあるが、こちらには反応が薄かった。代わりに印旛沼水系ではアメリカナマズ (Ictalurus punctatus)がやたら食いついてきた。

ちなみに尻尾が怪獣っぽくてかっこいい。

魚と違って泳ぎは得意でないので、ハリにかけてから岸へ寄せるまではそう大変でない。
問題は岸についてからである。

意外と素早い上、踏ん張る力が強い。「ああ、やっぱり爬虫類は陸の生き物だ…。」と思い知らされる。
陸で強引に動きを封じるためにも、釣竿と釣り糸はある程度頑丈なものを用意し、ハリをはずす際にはフィッシュグリップ(写真で使用しているような器具)で顎をつかむのがよい。ペンチも必須。

拘束するためにはやはりフィッシュグリップが無難である。甲羅をつかむのには慣れが必要である。
たとえかみつかれない位置を持ったとしても、足でひっかかれるとかなり痛い。最悪、尻尾をつかんでぶら下げてしまえば咬みつかれることもひっかかれることもないが、カミツキガメが自重で尾やその付け根を脱臼してしまう可能性がある。


ちなみに余談ですが


 食べても美味いです。





1 件のコメント:

  1. 美味いのか!
    今度見つけたら食べてみようかな。
    ちなみに、生体の生きたままの移動が許されてる種類でしたっけ?出来ない場合、その場で〆て持ち帰らなきゃならんでしょうけど。ウチダザリガニみたいにミソ食えなくなるから可食部が減るなら、寂しいよね。

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