そして先日、関東へ出向いた際に知人のリクエストによって、またもこの魚を食べることになった。
今回は諸事情により荒川産のハクレンを用いることになったが、
ハクレンは生息する水域によって食味が大きく異なると聞く。
荒川産のハクレン
利根川産の個体は臭みも無く食べやすいのだが、荒川産のものはどうだろうか。
荒川と言っても広いので一概には言えないのだが、少なくとも僕の知るハクレンポイントは水がやや淀んでいて不安を煽ってくれる。
フレンチシェフVS荒川ハクレン
しかもなんと、今回は釣り好きのフレンチシェフも助っ人として同行してくださることに。
これは頼もしい。
北風の吹きすさぶ中、中型の個体をサクッと一匹釣り上げて締め、急いで調理場へと運び込む。
香草漬けにする、あるいは酒や牛乳で洗うなど、あらゆる臭い消しを試みるが…。
さすがはプロの料理人。素晴らしい手際で下拵えをこなしていく。
しかし、問題はそこから。
この荒川ハクレン、利根川産のそれとは比較にならないほど臭みが強い。
考えつく限りの手を尽くして臭み取りを敢行する。
調理法も、高温の油で臭いを消し飛ばすべく初手から通して揚げ物オンリー。
油で揚げても臭みを飛ばしきれない。
…が、駄目。
何をしても泥臭さと青臭さが抜けない。
利根川産のものも皮と身の間に川魚特有の臭みはあったが、皮を引いて酒で洗えば気にならなくなったものだ。
だが、こいつは違う。そんな甘いものじゃない。
しっとりと脂の乗った肉は一見すると非常に美味しそうなのだが、実はこの脂が臭みの元凶であるらしい。
これはどうしようもない。
ミンチにして脂が抜け切るまで洗浄しまくるしかないだろう。
もっとも、そこまですればバラムツやアブラソコムツですらも食えるようになるだろうが。
結局、臭みが残り放題のまま四人がかりで食べきった。
一人、二人ではとても無理だったろうと思う。
10日間くらい泥抜きできれば話も違ってくるのだろうが、相手がハクレンではそれも現実的ではない。
おそらく、もうあのエリアで採れたハクレンを口にする機会はもう二度と無いだろう。
ハクレンを釣って食べる場合、水質の良いポイントを厳選すべし。ということを教訓として学ぶことができた。
…プランクトンフィーダーや泥食み系全般に言えることだろうが。