2013年11月12日火曜日

沖縄外来種事情 2013年秋

10月、11月と月をまたいで沖縄へ行ってきました。

用事の合間にフィールドへ出ると、馴染みの外来種の姿が…。

まずは近頃にわかに注目を集めはじめている沖縄プレコことマダラロリカリアを捕食。

 某所のコンヴィクトシクリッドは一時ほとんど姿を消していたのに、久しぶりに覗いてみると個体数がリバウンドしていました…。



「ピンクシクリッド」の名で流通する白変個体(でいいのかな?)もちらほら。 



毎回食ってやろうと思うんだけど、どうしても踏み切れないアフリカマイマイ!


と、その天敵として導入されたけど在来陸貝ばっかり食べやがるニューギニアヤリガタウズムシ。



あとガメラ。



沖縄へ観光へ行く際は、海ばかりでなく陸や河川の生き物にも気を配ると色々ネガティブな発見がありますよ。
せっかくの旅行でそんな発見したくないと思いますが…。

2013年10月15日火曜日

外来魚料理

これまで色々な外来魚を捕獲して試食してきた。

元々食用目的で持ち込まれた種が多いので、たいていどれもそこそこ美味しい。
違うのもいるけれど…。



カムルチーは

ムニエルで美味しくいただいた。

ブラックバスことオオクチバスは

姿揚げのあんかけがベストだった。


ソウギョも

現地流に無難なあんかけにしてGood。
姿揚げじゃなかったけどね。


同じく四大家魚の一角ハクレンは

皮を剥けば臭みも少なくてそこそこ美味しかった。


アメリカナマズは

フライにするといいおかずになった。
この辺りで「皮を剥く+油で揚げる」という外来魚鉄板攻略法を身に付ける。


タウナギを

中華風の麺料理にしたことで、外来魚の調理は原産地に倣うべしという教訓を得た。


ティラピアは

いろんな意味で扱いやすかったねー。楽だった。
それにひきかえ…


プレコことマダラロリカリアは

下ごしらえから大変だった!
現地流にペイシアーダという料理にすると、多少臭う以外はそこそこいける味にはなった。
だがあの労力を考えるとまた食べようとは思いにくい…。


アリゲーターガーは




丸焼きにすると皮がズルッと剥けて面白かった。
そして味はほぼ鳥類の肉になってしまった。


こうして並べると色々食べてきてるな…。
まるでゲテモノ食いが趣味の人みたいでなんか嫌だな…。

美味しい美味しくないは別として、今ではどれもとても良い思い出です。

2013年9月17日火曜日

タウナギ (Monopterus albus)

魚類
原産地:東南アジア、東アジア
捕獲難易度:★★☆☆☆



田鰻と書いてタウナギである。
魚類ではあるがウナギとは縁もゆかりも無い。

中国・台湾ではごく一般的な食用魚となっている。

日本本土のタウナギは外来種であろうと言われているが、移入経路と時期は明らかでないようだ

なお、琉球列島産の個体群は産卵生態も大きく異なり(外国産は口内保育で琉球産は産みっぱなし)、
近年のゲノム解析による研究ではついに在来のものであることが明らかになっている

一説では朝鮮半島から奈良へ持ち込まれたのが本土産個体群の起源とも言われており、
それを裏付けるかのように奈良県を中心とした関西地方に多い。
田んぼにもいるが、その周囲の用水路を回った方が見つけやすいし捕りやすい。 

捕獲は非常に簡単である。
まず夜間に生息地の田園地帯へ出向き、用水路をライトで照らして回る。
水深5~20cm程度で流れの緩い場所に多く、底に這いつくばっているので網で掬うだけである。

ライトで照らそうが至近距離まで近づこうが逃げないほどどんくさい。
なので見つけることができれば捕まえたも同然である。



しかしこのタウナギ、つくづく常識知らずな魚である。
ヒレがほぼ無い上に、



鰓も一見どうなっているのか分からない。
しかも空気呼吸が可能で泳ぎが下手くそ。
小走りで追いつける川魚は初めて見た。

ちなみに前述の通り小さな網があれば楽々捕まえられるが、もっと工夫して捕まえたいという酔狂な方は釣りでも狙える。ただし見釣りだが。

水の振動に敏感に反応するので、エサは動けば何でもいい。
死んだエサでも眼の前で動かせば即食いつく。なんならルアーでもいい。

極論を言うとこんな仕掛けでも釣れる。



指サックは怪我防止のため。タウナギは意外と口が小さいのでこの写真よりもハリは小さい方がよい。

指先に釣りバリを装着し、タウナギの眼前でちょこちょこと動かしてやるのだ。
すると指をエサだと思って食いついてくるので、上手くハリを咥えてくれればそのまま釣り上げられる。


 上手くいくとこんな感じで釣れる。

ただし、やや難易度が高いのであくまで物好き向け。
言うまでもなく、普通に掬うかエサで釣った方が100倍手っ取り早い。



空気呼吸ができずに溺れ死んでしまうので、活かして持ち帰る場合は容器に水を入れすぎないこと。

原産地では重用されているだけあって、食べても美味い。
身がプリプリしていて、中華風の炒め物や中華餡の具にマッチする。

ただし、残念ながら食感が違いすぎてウナギの代用にはならないようだ…。



身が赤黒いのは少々ショッキングかも。

なお、捕獲はとても簡単だが居場所を見極めるのに若干コツがいるので色をつけて★2つにしておく。

2013年9月9日月曜日

ボウ・フィッシング アメリカ・イリノイ州におけるレジャーとしてのハクレン駆除

7月に書いたハクレンの記事閲覧数が予想以上に多いことに驚いています。

だからというわけではないけれど、ハクレンのボウ・フィッシングについて少し紹介。

日本へ食用に持ち込まれ、利根・江戸川水系に定着しているハクレンはアメリカでも近年幅を利かせている。

ただし、日本とは導入の経緯が異なる。植物プランクトンを大量に漉しとって食べる性質に目をつけられ、「泳ぐ水質浄化装置」として持ち込まれたのだ。
一定の効果はあったそうだが、やはり逃げ出した個体をきっかけに広範囲に拡散して問題化(ボートに突っ込んで事故の原因になったり、値が付かないのに漁師の網に掛かりまくったりするらしい)。
現在は駆除が求められているとか。

そうした背景からイリノイ川で誕生したのがこうした動画のようなレジャー・フィッシング。





弓矢で魚を射るボウ・フィッシングという日本では馴染みのない遊漁。ハクレンの場合は船のエンジン音に驚いて飛び跳ねる習性を利用し、空中で派手に射止めることになるので人気を博しているという。

ゲームフィッシング先進国のアメリカでは、魚釣りに関しては「いかに魚体へのダメージを軽減するか」というテーマがとても活発に議論・研究され、釣り人らにも徹底して啓蒙されている。
しかし、リリース(再放流)を前提としない外来魚の駆除も兼ねるとなると容赦は無いようで、かなり強大な矢を容赦なく魚体に打ち込んでいる。

ちなみにハクレンを食べる習慣は現時点では無いようで(食おうぜ!という運動は一応ある模様)、射られたハクレンは基本的に「廃棄物」として扱われているようだ。

漁法がかなり過激に映る上に漁獲後にはこの扱いなので、国内外からの批判もあるらしい。

日本の遊漁は漁業の延長であり、「獲物は食べなければならない」という意識が強い。
しかし、古くから純粋に「魚との駆け引きを楽しむ」ことを重視するアメリカでは「食べる」という選択肢の優先順位は低くなる。
ハクレンを捨ててしまうのも、ある意味ゲームフィッシング先進国らしい処理方法と言えるかもしれない。

確かにわざわざ無理して食べなくても、この方法なら消費を考えずに駆除が出来てレジャー客も楽しめる。
一石二鳥である。合理的である。

日本でも釣れたブラックバスやブルーギルのリリースを禁じ、殺処分を義務付ける動きに
「悪いのは人間であって魚じゃないのに!」という批判が多い。
しかし僕は人間が悪いからこそ、その責を負って心を鬼にすることも必要だと考えている。
「命を粗末にするな」という感情的な意見は、かえって多くの守るべき命を犠牲にすることもあるのだ。
(もちろん子どもへの適切な説明など、人の感情面への配慮は重要だが)

…でも生き物を矢で射殺して放置っていうのは個人的にはやっぱり抵抗があるかな~。
むやみに批判こそしないけど、自分もやりたいとは思えないな~。

まあ人間ってこんなもんですよ。

2013年7月23日火曜日

カミツキガメ (Chelydra serpentina)

爬虫類
原産地:北・中米
捕獲難易度:★★★☆☆

印旛沼水系の川にて。他にも各地で目撃・捕獲、あるいは繁殖の確認がなされている。

メディアで騒がれるほど狂暴じゃない。むしろ臆病でおとなしい。

カミツキガメ。その物騒な名前のイメージが強すぎるのだろう。「人に危害を加える恐ろしい外来種」という認識を持っている方が多い。
そりゃあちょっかいを出せば咬むなりひっかくなりされるかもしれないが、そんなのは野生の動物なら当然のこと。向うから積極的に攻撃してこないだけ安心というものだ。

…とはいうものの、子どもの遊び場でもある街中の水辺にこんなカメがいるというのはやはりちょっと心配でもある。
子どもは変なものにはちょっかいを出さずにはいられない生き物なのだから。



よく言われるように「咬まれれば指が一瞬で切断される」なんてことはそうそうないだろうが、体重10㎏に迫る成体に咬まれれば骨に達する大怪我をしてもおかしくない。

とまあまったく無害と言い切れない程度には危険なカメである。捕獲の際には注意を払いたい。

しかし捕獲と言っても前述の通り、とても臆病で警戒心が強いため、めったなことでは人の前には姿を現さない。なので網や手づかみで捕獲するのは極めて困難である。

印旛沼水系では産卵期である6月は陸に上がることも比較的多いらしく、地元の方々の目撃情報はその時期に集中していた。

となると必然的にエサを使用しておびき寄せる方法になるが、よく駆除で使用されるカニカゴタイプのトラップは設置に許可が必要な場合が多いし、駆除を行う業者や役所を混乱させかねないので安易に使用してはならない。
数をたくさん仕掛けないと効率も悪いし、カメを狙う場合はトラップ内での窒息をふせぐ工夫が必要となるため設置に手間もかかる。諸々の理由で個人が用いるのは現実的ではない。

となると「またかよ…。」と言われそうだが、残る手段は釣りとなる。
仕掛けは竿、釣り糸、オモリ、ハリと非常にシンプルでよい。いわゆるぶっこみ仕掛けである。
ただし、一つ重要な注意点としてハリのサイズがある。かなり大きなものを使用するべきである。

小さいハリを使うと、他種のカメがハリを飲んだ状態で釣れてしまうことがある。この事態は避けたい。

カメを狙うわけだから、当然スッポンやらクサガメやら招かざるカメも寄ってくる。
カメというのは魚と違ってエサを水中でひったくって泳ぐことなくその場で食む。
すると釣り人がアタリに気付く前にハリごとエサを飲み込んでしまい、非常に心が痛む事態を迎えることとなる。

それを避けるためにも、やや大げさに思えるほど大きなハリを使うべきである。
カミツキガメは甲長に比して頭部及び口がとても大きい。その上貪欲で、魚のように細かいことは気にしないようなので、「こんなにデカいハリ咥えてくれるかな…」と案じる必要はない。
それよりもうっかり飲み込まれた場合の絶望を恐れるべきだ。

成体の口はかなり大きい。クエ用やマグロ用などの極端に大きなものでなければたいていどんな釣り鈎でも入ってしまう。

具体的言うと、最低でも五百円玉からはみ出す程度のシルエットでないと、かなり飲まれるリスクが高い。特に成体のミシシッピアカミミガメ (Trachemys scripta)に。タマン鈎の22号を飲まれかけたときはさすがに驚いた…。

かといって海釣りで使うような軸の太いものもあまり都合がよくないので、ブラックバス用のワームフックの#5~6あたりが意外と使いやすいかもしれない(試したことないけど…)。

裏返すと見慣れたヌマガメとの身体構造の差は歴然。

エサはサンマの切り身がベスト。次点がサバ。海川陸を問わず、死肉をあさるタイプの生き物には臭い青魚がテキメンに効く。水棲カメ全般の好物でもある。
白身魚と比べると驚くほど差が出る。

イカの塩辛を用いたこともあるが、こちらには反応が薄かった。代わりに印旛沼水系ではアメリカナマズ (Ictalurus punctatus)がやたら食いついてきた。

ちなみに尻尾が怪獣っぽくてかっこいい。

魚と違って泳ぎは得意でないので、ハリにかけてから岸へ寄せるまではそう大変でない。
問題は岸についてからである。

意外と素早い上、踏ん張る力が強い。「ああ、やっぱり爬虫類は陸の生き物だ…。」と思い知らされる。
陸で強引に動きを封じるためにも、釣竿と釣り糸はある程度頑丈なものを用意し、ハリをはずす際にはフィッシュグリップ(写真で使用しているような器具)で顎をつかむのがよい。ペンチも必須。

拘束するためにはやはりフィッシュグリップが無難である。甲羅をつかむのには慣れが必要である。
たとえかみつかれない位置を持ったとしても、足でひっかかれるとかなり痛い。最悪、尻尾をつかんでぶら下げてしまえば咬みつかれることもひっかかれることもないが、カミツキガメが自重で尾やその付け根を脱臼してしまう可能性がある。


ちなみに余談ですが


 食べても美味いです。





セアカゴケグモ (Latrodectus hasseltii)

クモ目ヒメグモ科
原産地:オーストラリア
捕獲難易度★★★☆☆



もう15年以上経つだろうか。「外国からやってきた毒グモが大阪で大量発生!!」というニュースが駆け巡り、全国を震撼させた。

それがこのセアカゴケグモ (Latrodectus hasseltii)なのだが、現在はめっきり影が薄くなってしまった。

駆除に成功し、姿を消したのか?
そんなことはない。むしろ分布を関西から他地域へとどんどん広げつつあるのが現状だ。
おおげさな報道から受けるイメージに比してあまり毒性が強くないことと、おとなしい性質ゆえに被害が少なかったために存在感が薄れたようだ。
あとマスコミも飽きたのだろう。

ベンチの下とか側溝の蓋の裏とか、人工物の陰に多い。

2年ほど前に本種を探して大阪を訪ねた。もちろん大阪ならどこにでもいるというわけではなく、特定の地域に集中的に分布している。

ただし、いるところには本当に掃いて捨てるほどたくさんいた。卵の詰まった袋(卵のう)を守る雌の姿も多く見られた。

セアカゴケグモの卵のうのカラ



大きなメスは足を広げると硬貨大にもなる。


若い個体(亜成体)は腹部の模様がちょっと違う。


捕獲の際は咬まれないよう当然注意を払わなければならないが、特別な機材も必要無いし、逃げ足も遅いので簡単。


ただし人通りの多い街中で地べたを這いずり回らなければならないので、その気恥ずかしさを汲んで難易度は★3つとしておく。

本種も特定外来種であるので生かしたままの輸送や飼育は厳禁。
捕獲の必要に迫られう機会もそうそうないだろうし、危険性を考慮してもむやみに捕獲はせず、観察だけにとどめるのが無難だろう。

2013年7月21日日曜日

ハクレン (Hypophthalmichthys molitrix)

魚類
原産地:中国
捕獲難易度:★★★☆☆

英名はシルバーカープ

ハクレンとはソウギョ (Ctenopharyngodon idellus)、アオウオ (Mylopharyngodon piceus)、コクレン ()と並んで中国四大家魚(それぞれの食性の違いを利用したシステムで同時・同所的に養殖できる、中国における重要な4水産魚種)に数えられるコイ科魚類である。

他の四大家魚と同じく産卵から孵化までに長い流程を要し、日本では今のところ利根川水系でのみ再生産が確認されている。


もともと食用目的で導入された魚なので、皮を除くなどしてちゃんと料理してやればそれなりに美味い。
全長が1mを越え、泳ぎに長けるため、漁師さんでもない限り捕獲方法としては釣りが最も現実的だ。


プランクトンを濾しとる鰓が発達している。

ただしこの魚の食べ物は植物プランクトン。なのでミミズやエビでは釣れない。
だからと言って植物プランクトンを釣り鈎に刺すわけにもいかないので、代用としてマッシュポテトの団子を用いる。
水中で溶け出して拡散する植物質なので疑似植物プランクトンとして成立するのだろう。

だがこのマッシュポテト、もともとはヘラブナ釣り用に用いられていたエサなのでいまいちハクレンにはベストマッチではないように思える。

タイでは釣り堀でのメコンオオナマズ釣りが盛んなのだが、このナマズが食性も外見もハクレンによく似ている。

メコンオオナマズ。下の方に付いた眼も筋肉質な体型もハクレンに似ている。やはり植物プランクトン食。

この魚を狙う際は米ぬかで作った大きな団子を使うが、これはハクレンにも応用できそうだなと考えている。マッシュポテトよりは向いていそうだ。

米ぬか団子の中に釣り鈎を仕込み、メコンオオナマズに溶け出す米ぬかと一緒に吸い込ませる仕組み。

バスやスズキを狙う釣り人のルアーに頻繁に引っかかってしまう。

ちなみに、利根川の釣り人曰く、「マッシュポテトでちまちま釣るより、スズキ狙いでルアー投げてれば嫌になるほど掛かってくる。」とのこと。
試してみるとまさにその通りでした…。

それから利根川水系において、この魚には禁漁期が設けられているので注意が必要だ。



ちなみにこのハクレン、「泳ぐろ過機」として水質浄化目的で導入された北米でも大量に定着しており、一部河川では批判の声も大きいボウ・フィッシングのターゲットにもなっている。
(レジャーと駆除を兼ねる。という大義名分はあるようだが、食用としない魚を問答無用で殺傷するのはやはりよく思わない人も多い)

こちらはそれなりに強力な洋弓で射る遊漁なので、日本では真似しようと思ってもできない遊漁だ。
挑戦したいとも思えないが…。