2013年9月9日月曜日

ボウ・フィッシング アメリカ・イリノイ州におけるレジャーとしてのハクレン駆除

7月に書いたハクレンの記事閲覧数が予想以上に多いことに驚いています。

だからというわけではないけれど、ハクレンのボウ・フィッシングについて少し紹介。

日本へ食用に持ち込まれ、利根・江戸川水系に定着しているハクレンはアメリカでも近年幅を利かせている。

ただし、日本とは導入の経緯が異なる。植物プランクトンを大量に漉しとって食べる性質に目をつけられ、「泳ぐ水質浄化装置」として持ち込まれたのだ。
一定の効果はあったそうだが、やはり逃げ出した個体をきっかけに広範囲に拡散して問題化(ボートに突っ込んで事故の原因になったり、値が付かないのに漁師の網に掛かりまくったりするらしい)。
現在は駆除が求められているとか。

そうした背景からイリノイ川で誕生したのがこうした動画のようなレジャー・フィッシング。





弓矢で魚を射るボウ・フィッシングという日本では馴染みのない遊漁。ハクレンの場合は船のエンジン音に驚いて飛び跳ねる習性を利用し、空中で派手に射止めることになるので人気を博しているという。

ゲームフィッシング先進国のアメリカでは、魚釣りに関しては「いかに魚体へのダメージを軽減するか」というテーマがとても活発に議論・研究され、釣り人らにも徹底して啓蒙されている。
しかし、リリース(再放流)を前提としない外来魚の駆除も兼ねるとなると容赦は無いようで、かなり強大な矢を容赦なく魚体に打ち込んでいる。

ちなみにハクレンを食べる習慣は現時点では無いようで(食おうぜ!という運動は一応ある模様)、射られたハクレンは基本的に「廃棄物」として扱われているようだ。

漁法がかなり過激に映る上に漁獲後にはこの扱いなので、国内外からの批判もあるらしい。

日本の遊漁は漁業の延長であり、「獲物は食べなければならない」という意識が強い。
しかし、古くから純粋に「魚との駆け引きを楽しむ」ことを重視するアメリカでは「食べる」という選択肢の優先順位は低くなる。
ハクレンを捨ててしまうのも、ある意味ゲームフィッシング先進国らしい処理方法と言えるかもしれない。

確かにわざわざ無理して食べなくても、この方法なら消費を考えずに駆除が出来てレジャー客も楽しめる。
一石二鳥である。合理的である。

日本でも釣れたブラックバスやブルーギルのリリースを禁じ、殺処分を義務付ける動きに
「悪いのは人間であって魚じゃないのに!」という批判が多い。
しかし僕は人間が悪いからこそ、その責を負って心を鬼にすることも必要だと考えている。
「命を粗末にするな」という感情的な意見は、かえって多くの守るべき命を犠牲にすることもあるのだ。
(もちろん子どもへの適切な説明など、人の感情面への配慮は重要だが)

…でも生き物を矢で射殺して放置っていうのは個人的にはやっぱり抵抗があるかな~。
むやみに批判こそしないけど、自分もやりたいとは思えないな~。

まあ人間ってこんなもんですよ。

1 件のコメント:

  1. やる側、批判する側、双方とも単に自分たちが何者であるかを忘れているだけでしょ?
    人間らしさを失って、畜生道に落ちただけだと思うよ?アシダカグモがゴキブリ殺すときとか、イタチがネズミ殺すときってこんなかんじだよね。食わずに捨てることがしばしばある。

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